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取材協力:大東 アリンさん & 砥部焼観光センター

「芸術の秋」、使い古された言葉ではあるけれど、秋の風情には人の感性を鋭敏にしてくれる何かがありますね。朝のしんとした空気感、昼の突き抜けるように高い空、月灯りに光る草葉の露と虫の音…。そんな「美しさ」に敏感になるこの時期。

今回は女性作陶家の大東アリンさんに「陶芸」についてお話をお伺いしました。自分の中にある「美」を凝縮して、土で表現する、オンナの感性が光る陶芸の世界に触れてみましょう。

大東 アリン 氏
1961年 フィリピン生まれ。
1982年 青年海外協力隊員のご主人と結婚を機に来日。
1988年 ご主人を手伝って陶芸を始める。

その後数々の賞を受賞し、現在砥部町五本松の「NAO東窯」で制作活動を続ける。 愛媛陶芸協会会員。




私は身の回りのもので遊んでしまうんです(笑)

陶芸には遊びの要素がたくさんあるんですよ。だからこの仕事は私にぴったり。人に見せて「あーだ、こーだ」と言われるためでなく、自分で思うモノができたとき「やったー!」って気持ちになれることがうれしいの。自分で創ったものでも「うーん…、これはイマイチ」「これはすごい!」というものができちゃうこともある。でも正解も不正解もないの。陶芸でも何でもそうですが、モノを創ることに、ここまでしかできない、しなきゃいけない、というレベルはないんです。頭の中で自分の創りたいモノ、「美しいモノ」を一生懸命イメージしていくのだけれど、思うようにできないときはキレイなものにフラレた気分(笑)。でも恋愛と一緒で、何度でもアタックしていきます。追いかけて追いかけて、簡単に諦めちゃダメなんですね。失敗も間違いもない、自分の理想の「形」と実際に表現する「形」の間のギャップを追いかけ、埋めていくだけなんですから。





感性を磨くには「頭」と「心」を鍛えないとダメ。

自分の頭の中に、ぼんやりとある美しいモノをじっと見つめて、どんどんイメージを膨らませていきます。細かいところまで「こうだ!」っていう、自分の「美」のイメージが頭の中にできてから、「よし!」と創り始めるの。頭の中にイメージすることができなければ「形」にして行くことってできないんです。何となくこんなものが創ってみたい、って気持ちがあっても、土を前にするとどうやっていいのかわからなくなっちゃうってことになっちゃうの。そして「美しさ」を実際の形にしていくのが「手」なんです。感性を磨くには「頭」と「心」を鍛えないとダメ。頭でイメージして、手で表現してってことを繰り返し行うことで感性が磨かれていくのよ。そして大切なことは「自分の中にあるキレイなものと、世の中のキレイなものとは比べることができない」ってこと。自分の美しいと思うこと、ってそういうことなんですよ。自分で創った、できた、でももっといいものが創れるはず、もっとこうしてみたい、そうやって自分の心の中にある「美」を形にしていく…。感性がどんどん高まってきて、自分の中にある「美」がもっともっと高まってくるんです。






理想がどんどん高くなっていくと、それに併せて表現するための技術も高まってきて、もっといろんなものを創れるようになってきます。「自分に表現できることは本当にここまでなの?」って次から次へと追いかけていく、そうして素晴らしい作品ができあがってくるのが陶芸の楽しさ。土を捏ねて、形をつくって、素焼きして、釉薬かけて、最後に火を入れて仕上げるというのが陶芸の一連の流れですが、どの行程でも試行錯誤の連続です。



土の捏ね具合、生地の厚さ薄さ、干し加減、釉薬の材料、火入れの温度・時間など、組み合わせは無限大になってしまいます。例えば、こんな形と色合いの組み合わせはどうか、とかこの釉薬をつかってこの温度で焼くとどうなるか、とか。自分のイメージした作品を創ったつもりでも、窯を開けるまではわからない、そんな面白さが陶芸にはあります。




そうそう、日々感性を磨いていくことは大切です。日常のさりげないこと、日々使う食器やリネンなんかでも、どうでもいいものを使っていると心が寂しくなってきてしまうの。毎日使うものだからお気に入りの、こだわりのあるモノを使って欲しい。そうすることで「美しさ」を感じる心が更に育ってきますから。

作陶体験ができるところは砥部町には
何カ所も教室がありますよ。


砥部焼観光センターでは1,000円〜2,000円くらいで絵付けやろくろ体験をすることができますよ。全くの初心者でも先生が付いて指導してくれるから、最後はきちんと作品として仕上がるので安心して(笑)。最近はカップルで来て一緒に体験していく人も多いです。だって何千円かでデートだけじゃなくモノ創りの楽しさを味わって、記念品までできるんだから。みなさんにもぜひ陶芸の楽しさ奥深さ、自分を表現する素晴らしさ、難しさを知ってもらいたいと思います。


Kazuha's voice:

アリンさんの作品はとても砥部焼と思えないほど繊細な形と柔らかな色合い。自分の心の中の「美」を凝縮する、そして「形」にしていく行程で感性は磨かれる…というアリンさんの言葉が心に沁みました!しっかり次回の体験予約をして帰った私。それまでに感性をもっともっと磨いて大作にチャレンジしてみます。




  砥部焼観光センター 炎の里
愛媛県伊予郡砥部町千足359
Tel.089-962-2070

http://www.tobeyaki.co.jp/


Writing : kazuha

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